朝日新聞で新建自治会の取り組みが紹介されました。
——— 朝日新聞(2018年8月16日) 引用 ———

◆4年前の教訓、防災力高める 広島土砂災害の被災地◆
 2014年8月20日未明に起き、77人が犠牲になった広島土砂災害。かつての被災地は今年7月、西日本を襲った豪雨に再び見舞われた。だが当時の教訓を生かして独自の「備え」を進めていた地域がある。

 戸建て住宅が並ぶ広島市安佐北区可部(かべ)東の「新建(しんだて)団地」。7月6日午後5時半ごろ、小笠原正信さん(65)は自治会のホームページで雨量グラフを見て驚いた。団地内で降っているのは10分間10ミリの雨。自宅前の川を見ると、濁った水が激しく流れ込んでいる。

 「同じだ……」

 脳裏をよぎったのは4年前の広島土砂災害の記憶。190世帯が暮らすこの団地では3人が死亡し、小笠原さん宅も全壊した。

 「このままでは危ない」。妻(64)と長女(28)を連れ、車で10分ほどの長男宅に避難したのは午後6時ごろ。団地がある地区に避難指示が出る1時間半前だった。7月6日の安佐北区の24時間降水量は「あの日」の224・0ミリには及ばないものの、173・5ミリを記録。だが新建団地で人的被害はなかった。翌7日朝、自宅近くの坂は側溝からあふれた水で川のようになっていた。「暗くなってから避難していたらけがをしたかも。早めに避難できてよかった」

 小笠原さんら住民が判断の目安にした自治会のホームページには、独自に作成した自主防災システムが組み込まれている。

 4年前、自治会は電話連絡網を使って避難の呼びかけなどを試みたが、停電や浸水でつながらないケースが続発。「教訓を生かし、二度と繰り返さない」と住民のシステムエンジニア、森次(もりつぎ)茂広さん(53)が仕事の合間を縫って開発した。

 15年6月に雨量計を設置し、自治会のホームページで10分ごとの雨量を常時確認できるように。10分間10ミリか1時間で40ミリを超えると、避難を呼びかけるメールも自動で送信される。

 安否確認システムも開発。住民ごとに識別するQRコード付きのカードを配布し、簡単に安否や位置情報を入力できるようにした。素早い救助につなげるためだ。いずれも住民は無料で利用でき、メールは団地の6割超の120世帯、安否確認システムは全世帯が登録している。

 こうした取り組みは注目を集め、大阪北部地震後には兵庫県の自治会からも問い合わせがあった。森次さんは「災害時に多くの情報を共有し、助け合えるよう改良したい」。土砂災害4年を前に、19日に団地全体でシステムを使った防災訓練をする予定だ。

(高橋俊成)

——— 朝日新聞(2018年8月16日) 引用 ———